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| 古事記とは、奈良時代、712年（和銅５年）に成立した日本最古の歴史書である。宮廷に伝わる「帝紀」「旧辞」（※1）がもとになっている。天武天皇の治世に国史編纂事業が推し進められ、稗田阿礼によみならわせた史実や伝承を太安万侶が筆録し完成に至った。その内容は創世の時期の神話や伝承から推古天皇の時代までの物語が主体であり、史実ではない記述も多く含まれているため勅撰の正史ではないが、最重要書物として今日の日本史や宗教文化の形成に大きな影響を与えている。創世の神々と国生み（※2）、つまり日本の誕生についてを神像的に描いており、続いて初代天皇である神武天皇の東征から天皇家が日本を支配していった経緯などが表記されている。神武天皇とは国生みの神、イザナキの子である天照大御神の子孫であり、つまり天皇家は神の家系であるとされる在人神論はここから始まっているのだが、神武天皇が本当に実在したかどうかは定かではない。 古事記の構成は上巻・中巻・下巻にわかれており、それぞれ神話の時代、初代神武天皇から15代天皇まで、16代天皇から33代天皇までを伝えている。古事記の世界は天津神たちが住まう高天原と人間が住まう葦原中国（地上）、根の国・黄泉（地中）が存在し、このことからも神話的・物語的な特徴を顕著に表わしている。 （※1）帝紀は天皇家の系譜を、旧辞では古い伝承をそれぞれ伝えていた。 （※2）最初の神である別天津神・神世七代の最後に生まれてきたイザナキ・イザナミという男神と女神が交わって島々を産んだ。 |
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